ビジネス

製造業の現場を変革!人手不足・技能継承・多国籍化に対応するAIソリューション共同開発がスタート

製造業が直面する課題

国内製造業では、熟練技術者の高齢化による技能継承の断絶、慢性的な人手不足、労働者の多国籍化に伴う言語や文化への対応など、現場運営の難易度が年々高まっています。日報や作業記録といった現場情報は日常的に発生しているものの、Excelでの記録や記録方法の属人化(特定の個人にしかできない状態になること)により、十分にナレッジ(知識や知見)として活用されず、ノウハウが埋もれてしまうケースが多く見られます。

AI技術への期待は高まる一方で、製造現場では「現場に定着しない」「PoC(概念実証。新しいアイデアや技術が実現可能かどうかを検証すること)止まりで終わる」といった導入の壁も存在します。そこで、このプロジェクトでは既存業務に自然に溶け込み、個人の努力に依存しない設計でAIを介在させることで、現場担当者の入力負担と管理者の業務負担を軽減することを目指しています。

日報業務を起点としたAIソリューションの具体像

この新たなAIソリューションは、製造現場で働く多くの人が日常的に関わる日報業務のAI化からスタートします。日報業務をAI活用の入り口とすることで、現場に無理なくAIを組み込み、継続的な利用とデータ蓄積につなげられると見込まれています。

特に注目すべきは、テキスト入力に加え、音声入力や多言語対応が導入される点です。これにより、熟練者、新人、外国籍労働者を問わず、質の高い記録を負担なく残せる環境が構築され、現場定着とデータの蓄積が促進されます。さらに、AIによる日報作成支援に留まらず、蓄積されたデータをナレッジとして活用し、将来的な検索、分析、意思決定支援へとつながるプロダクト設計が進められています。

日報を起点としたAIによる現場改善の概念図

AIが実現する新しい業務体験

本ソリューションは、製造現場で働く一人ひとりの役割や業務負担に応じて、AIが自然に介在する業務体験を実現することを目指しています。

  • 若手作業者による構造化入力の支援 「日報に何を書けばよいか分からない」「記録内容にばらつきが出る」といった課題に対し、AIが入力項目や観点を補助することで、作業内容や気づきを整理して残せる環境を提供します。

  • 外国籍作業者による自国語での記録支援 日本語での記録や申し送りに負担を感じる外国籍作業者に対し、自国語で作業内容を記録できる環境を整えることで、言語の壁による記録漏れや情報伝達のばらつきを抑制します。

  • ベテラン作業者の暗黙知・示唆の抽出 ベテラン作業者が日々の判断や気づきとして持つトラブル対応事例、改善の勘所、現場ならではのノウハウといった暗黙知(言葉や文章では表現しにくい、個人の経験に基づいた知識やノウハウ)を日報から吸い上げ、個人の経験にとどまらない形で蓄積することを目指します。

  • 現場リーダー・管理者による確認とナレッジ化 現場リーダーや管理者が日報を確認し、必要に応じてコメントや補足、知見整理を加えることで、日々の記録を現場全体で活用できるナレッジへと育てる仕組みを目指します。

  • 工場長による工場全体の把握と標準化の支援 工場長が工場全体の状況を把握し、ラインごとの運用や記録品質、標準化のばらつきを確認・調整できるようにすることで、工場全体の生産性向上や持続的な運営を支援します。

  • ヒヤリハット・トラブル報告による、申し送りの確実な伝達 ヒヤリハットやトラブルなど、即時性や重要性の高い情報については、日報とは別の導線で報告できる仕組みを設けることで、現場で発生した異常や気づきを埋もれさせずに共有できる環境を目指します。さらに、報告内容や申し送りの確認状況を可視化することで、伝達漏れや対応漏れの防止に貢献します。

今後の展望と期待

このAIソリューションは、製造現場での実運用を想定して開発が進められており、2026年秋頃に正式リリースが予定されています。

特定企業向けの個別最適AIの開発ではなく、製造業を中心に多様な現場で活用できるプロダクト化が視野に入れられています。日報作成支援という単一機能に留まらず、現場担当者が入力した情報を、管理者による確認・補足、ナレッジ化、検索・分析、工場全体の状況把握へとつなげることで、現場で使われながら育つAIの実現を目指します。

本取り組みを通じて、製造業におけるAI活用が一部の先進企業だけのものではなく、属人化や人手不足、技能継承、多国籍化といった課題に直面している中堅・中小企業にとって、現実的な選択肢となるプロダクトの提供が期待されます。

株式会社サンネットについて

製造業向けEPP、IoTソリューションなど、現場データの活用や業務効率化を支援するサービスを展開しています。製造現場における業務理解や顧客基盤を強みに、デジタル技術を活用した新たな価値創出に取り組んでいます。

株式会社Sapeetについて

AIで企業独自のベテラン知見を解析し、競争優位性につながるコア業務の価値を増幅・拡張するExpert AI事業を展開する東京大学発ベンチャーです。コミュニケーションAIや身体分析AIを使いやすいシステムとして提供し、企業のAIと人間の協業体制構築を支援しています。

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。
※ 内容はリリースにより異なります。