脳と機械をつなぐ「BCI」とは?
ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)とは、脳の活動を読み取り、それをコンピューターや外部デバイスの操作に利用する技術のことです。例えば、脳卒中による麻痺で体が動かせなくても、思考によってロボットアームを動かしたり、コミュニケーションをしたりできるようになる可能性があります。
Research Nesterの最新調査によると、日本のBCI市場は2025年に1億6,200万米ドルを超え、2035年末までに8億5,700万米ドルに達すると推定されています。この10年間で年平均複合成長率(CAGR)18.1%という目覚ましい拡大が予測されており、2026年には早くも1億9,200万米ドルに達する見込みです。

市場成長を牽引する要因
この急成長の背景には、いくつかの重要な要因があります。
- 神経学的リハビリテーションへの需要拡大: 脳卒中や神経疾患による身体機能の障害を持つ人々にとって、BCIは運動機能の回復やコミュニケーション支援の新たな希望となっています。
- ニューロテクノロジーの進歩: 脳の信号をより正確に読み取り、解析する技術が日々進化しています。
- AI・ロボティクス・医療機器工学との融合: 人工知能(AI)やロボティクス、生体信号処理技術、医療機器工学といった多様な分野の技術が組み合わさることで、BCIの実用化が加速しています。
厚生労働省は2025年3月、重度の上肢麻痺を伴う脳卒中患者を対象としたBCI療法の評価を行う臨床試験を発表しました。このような公的な取り組みも市場の拡大に寄与しています。
最新の技術開発と企業の動き
日本のBCI市場では、すでにいくつかの注目すべき動きが見られます。
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JiMEDのALS向けワイヤレス埋め込み型BCI: 2026年6月、JiMEDは筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象とした日本初のワイヤレス埋め込み型BCI臨床試験計画について、医薬品医療機器総合機構(PMDA)への通知を受領しました。同社は既に多額の資金を調達し、臨床試験と製品展開を進めています。
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エプソンによるNeurableへの出資: 2023年4月には、エプソンとその投資部門EXIが、AIを活用した脳波(EEG)ベースのBCI技術を開発するスタートアップ企業Neurableに出資しました。Neurableの技術は、非侵襲的な(手術を伴わない)脳活動計測を可能にし、ウェルネス、ヘルスケア、ゲーミング、AR/VRといった幅広い分野での活用が期待されています。
非侵襲型BCIが市場をリード
製品タイプ別に見ると、非侵襲型BCI(手術を伴わないタイプ)が2035年末までに市場の90%という圧倒的なシェアを占めると予測されています。これは、高齢者介護やリハビリテーション、コミュニケーション支援といった分野で、リスクの低いニューロテクノロジーが強く求められているためです。日本社会の急速な高齢化も、非侵襲型BCIシステムへの需要を高める一因となっています。
研究開発の拠点となる東京
地域別では、東京が予測期間中に顕著な収益シェアを獲得すると見込まれています。東京では、BCI研究が実験室レベルから、身体機能拡張や実社会でのインタラクション技術へと活発に移行しているのが特徴です。
科学技術振興機構(JST)は2024年、日常生活で脳活動や精神状態を検知するウェアラブル脳波(EEG)計測デバイスやIoB(Internet of Bodies:身体のインターネット)インターフェースの開発が進められていると発表しました。これらの技術は、アバターの操作、認知トレーニング、音楽演奏、リハビリテーション、コミュニケーション支援など、多様な応用が期待されています。
また、慶應義塾大学の研究チームは2026年4月、ウェアラブルBCIとAIを組み合わせることで、メンタルトレーニング中の脳活動に関するリアルタイムのフィードバックを提供できることを報告しました。これは、非侵襲型システムが認知機能と身体機能の両方に影響を与え得る可能性を示しており、東京がBCIエコシステムの中心地としてさらに発展していくことでしょう。
市場を牽引する主要プレイヤー
日本のBCI市場における主要なプレーヤーとしては、以下の企業が挙げられます。
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Nihon Kohden Corporation
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Honda Research Institute Japan Co., Ltd.
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Cyberdyne, Inc.
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JI¬MED Co., Ltd.
これらの企業は、BCI技術の実用化と普及に大きく貢献していくことが期待されます。
まとめ
日本のBCI市場は、医療分野での需要拡大、技術革新、そして多様な産業との融合により、今後も力強い成長を続けるでしょう。特に非侵襲型BCIの発展と東京を中心とした研究開発の活発化は、私たちの生活をより豊かに、そして可能性に満ちたものに変えていくはずです。脳と機械が織りなす未来が、すぐそこまで来ています。
本調査レポートの詳細については、Research Nesterのウェブサイトをご覧ください。
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