静岡県焼津市で創業77年を迎える町工場、杉村精工株式会社(代表取締役:杉村学)の社員6名が、2026年10月25日に開催された「しまだ大井川マラソン」に出場し、全員がフルマラソンを完走しました。全社員30名のうち、5人に1人が42.195kmに挑み、ゴールまで走り切ったことになります。

6人中5人は、入社するまでマラソン未経験
出場した6名のうち、入社前からマラソン経験があったのは1名だけです。残る5名は、フルマラソンはもちろん、日常的に走る習慣もありませんでした。メンバーは大会に向けて終業後や休日に練習を重ね、今では走ることが日々の習慣として定着しています。大会のエントリー費は会社が全額負担し、社員の挑戦を後押ししています。

人手不足の町工場が「スポーツ」を入口に選んだ理由
同社は、製造業のイメージ刷新と社員の健康づくりを目指し、会社として「町工場×スポーツ」の文化醸成に取り組んでいます。背景には、製造業、とりわけ地方の町工場が直面している深刻な人手不足があります。若い世代にとって町工場は「よく知らない場所」であり、就職先の選択肢に上がりにくいのが現状です。
この課題に対し、元フィットネス企業出身で同社取締役、アトツギの杉村岳氏は、まず町工場を知ってもらうきっかけをつくることが必要だと考えました。そこで選んだのが、静岡県民にとっても身近なスポーツです。スポーツを入口にすれば、製造業に関心のなかった人にも町工場の存在や働く人の姿を届けられるという考えで、今回のフルマラソン挑戦もその取組の一つです。普段関わることの少ない社員同士が、部署を超えて交流する場にもなっています。
杉村精工は、スポーツを通じて「会社・社員・地域」のそれぞれに価値が生まれる仕組みづくりを進めています。主な取組は次のとおりです。
- 会社:ランニングのギアメーカー「INNER-FACT」とのコラボにより、2025年8月にランニングシャツ、同年12月にネックゲイターを販売。2026年5月には、トレイルランニング用キャップを夏季ユニフォームとして導入しました。こうした発信は各種メディアに取り上げられ、取組を始めて以降、採用への応募数も増加傾向にあります。
- 社員:マラソン大会のエントリー費を会社が全額負担。一方で、スポーツイベントに参加したことがある社員は30名中15名にとどまっており、引き続き参加の輪を広げていく方針です。
- 地域:7年前からJ2クラブ「藤枝MYFC」のオフィシャルパートナーを務めています。2025年には地元の鉄工組合青年部とともに地域向けフットサルイベントを開催し、2026年には「藤枝トレイルランニング」にも協賛しています。
こうした取組は外部からも評価されており、「スポーツエールカンパニー2026」「Sport in Lifeアワード2025 奨励賞」「静岡型スポーツ・イン・ライフ推進パートナー」に名を連ねています。今年度も各認定への申請を行っています。また2026年からは、スポーツ庁が推進する「シュープロ」にも賛同しています。シュープロは、靴を起点に職場や地域などで「動く」日常を自然と増やし、運動・スポーツの習慣化や健康増進につなげることを目指すソーシャルアクションです。同社は、未経験の社員がシューズを履いて走り始め、フルマラソン完走に至った今回の挑戦も、その趣旨に沿った取組の一つだと考えています。

全員完走を機に、社内ランニングサークル「チームSSR」が誕生
今回の全員完走を受け、同社は社内ランニングサークル「チームSSR(Sugimura Seiko Runners)」を発足させ、コーポレートカラーを取り入れたチームロゴも制作しました。完走したメンバーからは「次の大会にも出たい」「新たにチームウェアを制作したい」といった声が上がっており、この熱を一度きりで終わらせず、社内全体に参加の輪を広げながら継続的な取組にしていくとしています。
完走した6名の声
櫻井隆史さん(59)にとって、走ることは「チャレンジ」。タイムを縮め、距離を伸ばすことで、年老いてもまだできると前向きな気持ちになれると語ります。50歳でランニングを始めて一年が経った佐藤基和さん(50)は、学生時代のマラソン大会ではいつもビリの方だった自分が、始めて1年でフルマラソンを完走できたことが今でも信じられないとし、それは社内で一緒に走ってくれる人たちがいるからだと話します。
初めてのフルマラソンだった稲垣貴保さん(46)は、悪天候もあって一生忘れられないレースになったと振り返り、この歳での健康づくりにとてもいいと感じているそうです。原田直樹さん(42)は、4時間駅伝への出場を決めたことが走るきっかけとなり、今では走ることが日々の生活の張りになっているといいます。健康維持のためにランニングを始めた永田智大さん(35)は、走ることは自分との闘いだとしつつ、目標に向かって努力し達成することで得られるものがあると語り、仕事でも諦めずに挑戦する姿勢を大切にしたいと話しています。
取締役の杉村岳さん(30)は、ここまで運動の習慣が根付き、参加した全員が完走するとは思っていなかったと明かし、仲間と声をかけ合いながらゴールまで走り切った社員を心から誇りに思うとコメント。フルマラソンまでいかなくても、健康を意識し体を動かす習慣が身につくきっかけを社内に広げていきたいとしています。さらに、スポーツを通じて若い世代にも町工場の魅力を知ってもらい仲間を増やしながら、年齢や性別を問わず健康の輪を広げていく考えです。
出典:杉村精工株式会社
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