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ADDReC、アパートメントホテル「Sumu」で社会的インパクト不動産の指標運用を開始 防災と地域活性化を2本柱に

ADDReC株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:福島大我)は、アパートメントホテル「Sumu powered by Airbnb Partners」(以下、Sumu)のブランド設計、空間・建築監修、コンテンツ企画などを統合的にプロデュースしています。このSumuで、社会的インパクトを測るための指標体系の運用が始まりました。指標体系を策定したのはSumu株式会社です。柱は「地域活性化」と「防災(地域の防災・災害対応力の向上)」の2つです。

ADDReCはこれまで、ホテルを「泊まるための箱」ではなく、人・企業・地域・資金が交わる「まちでいちばん開かれた不動産」と捉えてきました。今回の2本柱も、別々の取り組みとしてではなく、平時と有事をつなぐひとつの関係性として設計しています。とりわけ防災は、日常の運営や体験のなかで「使いながら備える」というローリングストックの視点から捉え直しました。ADDReCは防災を、地域や企業と共に新たな価値や事業を生み出す領域としてプロデュースしていくとしています。

今年開業した、Sumu Ueno East(写真左)とSumu Asakusa South(写真右)のラウンジ
今年開業した、Sumu Ueno East(写真左)とSumu Asakusa South(写真右)のラウンジ

制度ごとに分かれた都市の課題と、分かれていないホテルの現場

都市の課題は、防災は防災、子どもの食は福祉、観光は観光というように、制度や資金の経路ごとに分けて扱われてきました。背景として、次のような状況が挙げられています。

  • 東京都では、帰宅困難者が約66万人と推計される一方、一時滞在施設は約47万人分にとどまる(2024年1月1日時点)
  • 能登半島地震では、ホテル・旅館への2次避難が最大5,275人に達し、平時から宿泊施設と連携しておく重要性が示された
  • 全国のこども食堂は12,601か所(2025年)まで増えたものの、運営者の61.9%が物価高による費用増に直面している

一方、ホテルの現場では、厨房、客室、ラウンジ、備蓄、そして日々動き続けるスタッフが分かれていません。日々入れ替わる多様な人を受け入れ、地域の商店や人と接点をつくり続けるホテルは、ひとつの場で複数の課題を同時に動かし、資金を含むリソースを分かち合える不動産だとしています。国土交通省が2023年3月に公表した「社会的インパクト不動産」実践ガイダンスは、「安全」を土台とし、その上に「魅力ある地域」を積み上げる考え方を示しています。Sumuの「防災」と「地域活性化」の2本柱は、この土台と最上層という両端を、ひとつのホテルで押さえる構造です。

資金面の事情もあります。日本のインパクト投資残高は約18.7兆円(2025年3月末)に達しました。ただし前年比の伸びは+8%に鈍化しており、大手機関への集中も進んでいます。地域に根ざした小さな不動産に社会的な資金が届くには、「何を生んでいるか」を共通の数字で示すことが前提になるとしています。

ADDReC、アパートメントホテル「Sumu」で社会的インパクト不動産の指標運用を開始 防災と地域活性化を2本柱に

指標は「評価表」ではなく、共創のための共通言語

ADDReCは、Sumuのブランド設計から空間、コンテンツ、地域連携までを統合的に手がけてきました。そのなかで、ホテル運営、金融機関、共創パートナー企業、自治体、地域の商店が、それぞれ別の言葉で価値を語っているという課題が見えてきました。今回の指標体系は、立場の違う人々が同じ数字を見て対話するための「共通言語」として設計されています。設計の考え方は次の3点です。

  • 2本柱を「表と裏」として設計する:平時にまちとの関係を積み重ねているからこそ、有事にも頼れる存在になれるという考え方です。地域の飲食店と子どもたちをつなぐ「Sumuごち」、地域の商店や職人との企画、多言語の地域マップは、平時の地域活性化であると同時に、有事に人と人をつなぐ回路にもなります。指標設計の軸には、この関係性そのものを測ることを据えています。
  • 測り続けられる数字と、運営に戻る仕組み:各柱は「活動 → 短期の成果 → 中長期の成果 → インパクト」をつなぐロジックモデルで構成されています。早く動く運用データ(先行指標)と、あとから表れる成果(遅行指標)の2軸で整理しています。さらに「インパクト測定・マネジメント(IMM)」の考え方を取り入れ、計測結果を新たな拠点の企画やコンテンツ開発に生かします。指標は「評価するための表」ではなく、「次の打ち手を考えるための道具」という位置づけです。
  • パートナーが参加できる「入り口」をつくる:指標があることで、協賛企業や共創パートナーは「自社の参加が、どの変化につながったか」を確認できるようになります。ADDReCはこれを、企業のCSRや商品開発、自治体の施策、金融機関のインパクトファイナンスなどが、ひとつのホテルで重なり合うための基盤と考えています。
ADDReC、アパートメントホテル「Sumu」で社会的インパクト不動産の指標運用を開始 防災と地域活性化を2本柱に

防災を「備える」から「使いながら備える」へ

防災は、大切だとわかっていても「いつかのためのコスト」として後回しになりがちです。備蓄は倉庫で眠ったまま期限を迎え、マニュアルは読まれないまま更新されていきます。ADDReCはこの構造を変えるため、日常のなかで使い、使った分を補充しながら常に備えを維持する「ローリングストック」の考え方をホテルに当てはめました。家庭のローリングストックは「食べながら備える」ものですが、ホテルでは日々入れ替わる宿泊者が「使う人」になります。備えが日常の体験の一部として絶えず使われ、その利用データと声が計測されます。ADDReCは、ホテルが「使いながら備える」を社会実装する実証の場になりえると考えています。循環が回るたびに備えが更新され、改良の過程から新たな商品やサービスが生まれるという発想です。具体的な取り組みは次の3つです。

  • 備蓄を、滞在体験の一部にする:保存食や日用品をラウンジや客室で日常的に使う品として導入し、使った分を補充しながら一定量を常に保つ運用を検討しています。地域の食品や地場のものづくりと組み合わせれば、備蓄そのものが地域を知る入り口になり、地域活性化の柱ともつながります。
  • 平時の道具を、有事の道具にする:多言語の地域マップや案内を、平時は「まちを楽しむ道具」、有事には「身を守る道具」として設計します。日常的に使われているからこそ、いざというときに迷わず手に取れます。土地勘や言葉の壁をもつ国内外の宿泊者にとっては、この「使い慣れ」そのものが備えになります。
  • ホテルを、防災の商品・サービスの実証フィールドにする:国内外から多様な人が滞在するホテルは、防災用品や保存食、情報サービスを「実際に使ってもらい、声を集める」場として機能します。ADDReCが構想しているのは、共創パートナー企業との共同開発・実証、訪日客も安心して使える防災アイテムの商品化、そしてそのノウハウを地域の宿泊事業者へ広げることです。防災を「コスト」から「新たな事業機会」へと変えることが、備えを持続させるいちばんの推進力になると考えています。

これらの取り組みは、「備蓄品充足率」や「多言語地域マップの完備率」といった先行指標に加え、「Sumuだから受け入れられる被災者数」という独自指標候補のもとで計測します。形だけの備えではないことを、数字で確かめていく方針です。

ADDReC、アパートメントホテル「Sumu」で社会的インパクト不動産の指標運用を開始 防災と地域活性化を2本柱に

「まちと、実験する。」を数字とともに広げる

指標の計測は、運営中の「Sumu Ueno East」と、2026年10月に開業した「Sumu Asakusa South」から始まります。Sumuは2030年までに都内約30拠点の展開を目指しています。ADDReCは新たに開業する拠点について、企画段階から共通の指標体系と各地域の特性を踏まえたプロデュースを行います。徒歩圏に拠点が集まる東エリアでは、拠点ごとの変化を比較・蓄積し、点の取り組みが面としてどう広がるかも確かめていくとしています。計測結果は、今後インパクトレポートなどで開示していく予定です。あわせてADDReCは、次のようなパートナーとの共創を広く呼びかけています。

  • 防災用品・保存食・日用品などを、ホテルでの実証や共同開発を通じて磨きたい企業
  • 地域の食やものづくりを、備えや滞在体験のかたちで国内外に届けたい事業者
  • 地域の防災力向上や関係人口の創出に、宿泊施設とともに取り組みたい自治体・地域団体
  • 測定可能な社会的インパクトを、投融資の対話に生かしたい金融機関

ADDReC株式会社は2016年2月設立で、所在地は東京都新宿区百人町1-10-15 新大久保駅ビル4Fです。同社はイノベーション領域における企画・コンセプト開発、コンテンツ、コミュニケーションを統合的にデザインし、空間に実装するプロデュースカンパニーです。ブランディング、空間プロデュース、サービスデザイン、オープンイノベーションを手がけています。

出典:ADDReC株式会社

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