ダッソー・システムズ株式会社は、ダッソー・システムズがArisGlobalの買収を完了したと発表しました。あわせて、ライフサイエンスとヘルスケア分野の事業を統合し、科学・医療・患者をつなぐ統合AIプラットフォームの構築を進めます。この取り組みの狙いは、新薬の研究開発の加速、より優れた治療法の提供、より的確な意思決定の支援を通じて、人々の生活を向上させることです。今回の内容は、フランスのヴェリジー=ヴィラクブレーで現地時間2026年10月28日に発表されたものの日本語参考訳として公開されました。
分断されていた医薬品のライフサイクルをひとつに
ダッソー・システムズのCEO兼取締役会会長であるパスカル・ダロズ氏は、ライフサイエンス業界がいま大きな転換点を迎えているとの認識を示しました。同氏によると、創薬、臨床開発、製造、患者の治療アウトカムはこれまでそれぞれ独立した領域として扱われてきました。そのため、各段階で得られた知見が、ほかの段階に十分に生かされてこなかったといいます。
ダロズ氏は、今回の取り組みをこの状況を変えるための重要な一歩と位置づけています。同氏の説明では、同社のライフサイエンス分野の製品群は現在、「3D UNIV+RSES(3Dユニバース)」に集約されています。これは、創薬から学習・改善を繰り返すプロセスを通じて、医薬品のライフサイクル全体をつなぐAI基盤の企業向けプラットフォームです。ダロズ氏は、各段階が連携して知見を共有すれば、科学モデルの高度化、臨床試験での知見活用の拡大、医薬品製造の柔軟化が可能になると述べています。さらに、患者の治療アウトカムから得られる知見が、将来のイノベーションを継続的に改善していくとしています。
買収額は現金18億米ドル、最大2億米ドルの追加対価も
ArisGlobalの買収額は、決済時点で現金18億米ドルでした。加えて、AI関連の収益に関する複数年の目標を達成した場合には、最大2億米ドルの追加対価が支払われる可能性があります。
ArisGlobalのAI基盤プラットフォームは、薬事規制対応、安全性情報管理、品質管理、メディカルアフェアーズに関する情報を一元管理する「信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth)」として機能しています。利用企業は200社以上にのぼり、その中には世界のバイオ医薬品企業上位50社のうち半数が含まれます。ArisGlobalは今後もアマン・ワサン氏がCEOとして率い、BIOVIAやMEDIDATAとともに、ダッソー・システムズのライフサイエンス&ヘルスケア部門の重要な一翼を担います。
この買収により、ダッソー・システムズは事業領域を広げ、科学的研究・創薬、臨床開発、製造、そして実臨床における患者アウトカムをつなぐ統合プラットフォームの構築を進めます。同社は、AIを科学的知見、バーチャルツイン、3D UNIV+RSESにおける深い専門知識と組み合わせることで、AIがデータを適切に理解・活用できる環境を整えます。そこから、具体的な行動や意思決定に役立つ知見を引き出すとしています。
医師でもあるアシュウィニ・ゼヌーズ氏が新部門を主導
この取り組みを主導する人物として、アシュウィニ・ゼヌーズ氏が、新設されたライフサイエンス&ヘルスケア部門のエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼部門最高経営責任者に任命されました。同氏は執行委員会のメンバーにも選任され、パスカル・ダロズ氏の直属となります。
ゼヌーズ氏は、MEDIDATA、BIOVIA、ArisGlobalを統括します。主な担当領域は次のとおりです。
- 戦略、事業統合、市場投入戦略、営業
- 製薬、バイオテクノロジー、医療機器、診断、デジタルヘルスの各分野における戦略的パートナーシップ
同氏は、業界全体が複雑な課題をより深く理解し、イノベーションを加速させ、バリューチェーン全体でより的確な意思決定を行えるよう、新たなプラットフォームの活用を推進していきます。医師、テクノロジー分野のリーダー、起業家という経歴を持ち、これまでにセールスフォース、コミュア(Commure)、米国退役軍人省で要職を歴任してきました。遠隔医療、精密医療、メンタルヘルス、AIの実用化に関する豊富な専門知識を持っています。専門研修を修了した放射線科医でもあり、現在も米国カリフォルニア州の医師免許を保持しています。学歴としては、フロリダ大学の短期集中型Medical Honorsプログラムで理学士号と医学博士号を取得しています。
10年以上の蓄積と「生命」のバーチャルツイン構想
ダッソー・システムズは10年以上にわたりライフサイエンス&ヘルスケア分野で事業を展開し、技術や専門知識、顧客との関係、業界への理解を積み重ねてきました。BIOVIAは科学分野のモデリングおよびシミュレーションを先駆けて推進してきました。MEDIDATAは4万2,000件の臨床試験と1,300万人の患者を支え、臨床開発のあり方を変革してきました。同社はまた、産業分野で培った知見を生かし、製造や事業運営にもバーチャルツインを導入してきました。
2020年には、バーチャルツインの力を「モノ」の世界から「生命」の世界へ広げる構想を発表しています。この構想では、生命科学、材料科学、情報科学を融合し、3DEXPERIENCEプラットフォーム上で生命現象を包括的に捉えるバーチャルモデルの実現を目指しています。このモデルでは、さまざまな条件を設定してシミュレーションや予測を行えるようにするとしています。
ダッソー・システムズは1981年の設立以来、バーチャル世界を開拓してきた企業です。同社のエージェンティックな3DEXPERIENCEプラットフォームでは、AIを搭載した科学的根拠に基づくバーチャルツインにより、あらゆる規模・業界の39万の顧客が協力できます。顧客は製品やサービスを創出・製造することで持続可能な革新を生み出し、社会に対して意義のある影響をもたらすことができます。
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