日本の高齢者ヘルスケア市場が飛躍的な成長へ!2035年には424.8億米ドル規模に
日本の高齢者向けヘルスケア製品市場が、今後10年間で大きく拡大するとの予測が発表されました。株式会社マーケットリサーチセンターが発表した最新の調査レポート「高齢者向けヘルスケア製品の日本市場(2026年-2035年)」によると、2025年時点で206.1億米ドル規模だった市場が、2035年には424.8億米ドルに達すると見込まれています。これは、年平均成長率(CAGR)7.5%という堅調な成長を意味します。
なぜ今、高齢者ヘルスケア市場が注目されるのか?
この市場成長の背景には、日本の急速な高齢化と高い平均寿命があります。それに伴い、慢性疾患を抱える高齢者の増加や、病院だけでなく自宅や介護施設での長期生活を支える在宅介護のニーズが拡大していることが挙げられます。さらに、リハビリ支援機器の高度化、ロボットやAIを活用した介護支援、デジタルモニタリング機器の普及といった技術革新も、市場を力強く牽引しています。
政府が高齢者向け健康施策を推進し、医療・介護支出が増加していることも、市場の持続的な拡大を後押しする要因となっています。
高齢者の「自立した生活」を支える多様な製品群
この市場は、単に医療機器を販売するだけでなく、高齢者の日常生活全体を支える幅広い製品で構成されています。移動、生活動作、入浴、コミュニケーション、慢性疾患管理、栄養、モニタリング、リハビリなど、多岐にわたるニーズに応える製品が開発されています。
移動支援機器が市場を牽引
特に、移動支援機器が予測期間中に市場を主導すると見られています。車いす、患者移乗用リフト、モビリティスクーター、歩行器・ロレータ、松葉杖、杖などがこれに該当します。高齢化に伴う筋力低下や関節疾患などにより歩行が困難になるケースが増えるため、移動支援機器は高齢者の自立生活を維持する上で極めて重要な役割を果たします。
電動型機器(Powered Devices)も大きく成長すると予測されています。高齢者自身の筋力だけでは扱いにくい車いすやリクライニングチェアなどを電動化することで、利用者だけでなく介護者の負担も軽減できるため、需要が高まっています。
慢性疾患管理とモニタリング機器の進化
高齢者は複数の慢性疾患を抱えることが多く、血圧、血糖値、心血管状態、認知機能などを継続的に管理する必要があります。そのため、慢性疾患管理は用途別でも重要なセグメントとなっています。
血糖測定器や血圧計などのモニタリング機器は、在宅医療の普及とともに需要が拡大しています。さらに、スマートデバイスの普及により、これらの機器は単体からネットワーク接続型へと進化。自動的にスマートフォンやクラウドへデータを送信し、医師や家族が遠隔で確認できる仕組みが、高齢者本人や介護者の負担を軽減し、早期の異常発見にもつながると期待されています。
ロボット・AI技術が介護現場を変革
日本が強みを持つロボティクス分野の技術も、介護・リハビリへの応用が進んでいます。歩行訓練、移乗、立ち上がり支援など、身体的負担の大きい作業はロボットとの相性が良く、介護人材不足の課題解決にも貢献すると期待されています。
また、AIの活用も今後重要になると考えられます。高齢者の歩行速度、睡眠、血圧、活動量などを継続的に分析することで、転倒リスクやフレイル(高齢期に心身の活力(筋力、認知機能など)が低下し、要介護状態となるリスクが高い状態)悪化の兆候を早期に発見できる可能性があります。
健康寿命の延伸と「予防型製品」への注目
高齢者ヘルスケア市場では、病気の「治療」だけでなく、「要介護化を防ぐ予防型製品」への需要も増えています。フレイルの早期発見と運動・栄養介入による健康維持、そしてサルコペニア(加齢に伴う筋肉量と筋力の低下)を防ぐための栄養補助食品や高タンパク食品が、その代表例です。AbbottのEnsureシリーズなどが、高齢者の筋肉維持や血糖管理を支援しています。
補助家具(医療用ベッド、昇降式リクライニングチェアなど)や浴室安全・介助用品(シャワーチェア、ポータブルトイレなど)も、高齢者が自宅で安全に生活するための環境整備に不可欠な製品として市場を形成しています。
市場拡大に向けた課題と展望
高性能な電動車いすやロボット、スマートベッドなどは高額になる傾向があり、価格が市場拡大の課題となる可能性があります。そのため、公的保険や介護保険、自治体補助、レンタルモデルなどの仕組みが普及に大きく影響すると考えられます。レンタルは、身体状態の変化に合わせて製品を交換できるため、高齢者向け機器との相性が良いとされています。
日本の高齢者向けヘルスケア製品市場は、2035年に向けて「高齢者の病気を治療するための製品市場」から、「高齢者が自立し、安全に、できるだけ長く健康に生活するための総合支援市場」へと発展していくと考えられます。今後の競争力を左右するのは、製品性能だけでなく、介護者の負担軽減、在宅での使いやすさ、医療機関とのデータ連携、そして高齢者本人の生活の質の改善にどれだけ貢献できるか、という点になるでしょう。
この調査資料の詳細は、株式会社マーケットリサーチセンターのウェブサイトで確認できます。 株式会社マーケットリサーチセンター
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