EU環境規制の波と日本の繊維・アパレル業界の課題
2024年7月に施行された「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」は、製品の設計段階から環境性能を考慮し、持続可能性を高めることを目的としたEUの新しい規制です。今後、繊維・アパレル分野では、製品ごとの環境性能やトレーサビリティ情報の開示、そして「デジタル製品パスポート(DPP)」の整備が義務付けられる見込みです。これらの要件を満たさない製品は、EU市場での販売ができなくなる可能性があります。
EU市場は日本の繊維・アパレル企業にとって重要な輸出先であり、この規制への対応は喫緊の課題です。しかし、原料から製造、物流、販売に至るまで多岐にわたる企業が関わるサプライチェーン全体での情報収集・管理は、一企業だけでは非常に困難です。また、複雑な制度文書の解読やデータ連携の仕組みづくり、欧州当局への意見提出なども個社での対応は大きな負担となります。
このような背景から、業界全体で知見を共有し、協力することで、日本企業全体の国際競争力向上を目指す「ESPR-T」プロジェクトが立ち上げられました。
ESPR-Tプロジェクトが目指すもの
ESPR-Tは、日本の繊維・アパレル産業におけるEU環境規制対応を支援する業界横断プラットフォームです。競争するのではなく「協調」する領域に焦点を当て、企業間で共通する課題や知見を共有し、各社の負担軽減と業界全体の対応力向上を目指します。
プロジェクトは主に3つのフェーズで活動を進めます。
Phase1:制度理解・情報共有(~2026年10月)
このフェーズでは、ESPRや繊維委任法の最新動向、RCレポート(製品の環境影響評価に関するレポート)の解説、DPP対応、データ開示項目の整理、未販売商品の廃棄規制、リサイクルへの対応、認証制度など、専門的な情報を分かりやすく整理し、定期的な勉強会やQ&Aを通じて企業間で共有します。
Phase2:サプライチェーン全体でのデータ連携設計(2026年9月~)
企業間で必要となるデータ項目や提供主体を整理し、日本の繊維・アパレル産業に適したデータ流通や業務プロセスの標準化を検討します。さらに、日本企業が共通して抱える課題を取りまとめ、欧州当局へのパブリックコメント提出や共同提言なども推進していく予定です。
Phase3:個社実証・DPP実装支援
実際のサプライチェーンを対象とした実証を行い、デジタル製品パスポート(DPP)の運用や既存システムとの連携など、実務レベルでの導入支援を行います。ここで得られた知見は業界全体に還元され、日本全体の対応力向上につながります。
参加をご検討の企業・団体の皆様へ
ESPRへの対応は、単なる法規制対応にとどまらず、グローバル市場で「どのような情報を持ち、どのように製品を説明できるか」が企業価値に直結する時代への移行を意味します。
ESPR-Tプロジェクトは、制度理解から実務、データ連携、実証までを業界横断で支援し、日本企業が安心してEU市場で活躍できる基盤づくりを目指しています。現在、欧州ビジネスを展開するブランド企業をはじめ、繊維メーカー、商社、OEM・ODM企業、加工・染色・縫製企業、IT事業者など、サプライチェーンに関わる幅広い企業・団体からの参加を募集しています。
本プロジェクトは新たな法人を設立するものではなく、伊藤忠ファッションシステムとBooostによる共同事務局が運営します。初期フェーズの参加費は無料ですので、ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。
Booost株式会社に関する詳細はこちらをご覧ください。 Booost株式会社
1 ITR「ITR Market View:予算・経費・サブスクリプション管理市場2026」サステナビリティ情報管理ツール市場-年商5,000億円以上:ベンダー別売上金額シェア(2024年度・2025年度予測) 2 サステナビリティERP「booost Sustainability」は、自社およびサプライヤーのサステナビリティ関連財務情報を管理する“統合型SXプラットフォーム”です。国際開示基準に準拠した環境、社会、ガバナンス等のデータポイントに対応したサステナビリティ関連情報の収集、集計を自動化し、リアルタイムでのモニタリングを可能にします。グローバルに対応したデータガバナンス機能を搭載しており、グループやサプライチェーンを含む組織において多階層の承認フローの実装が可能であるほか、第三者保証等にも対応すべく設計したプラットフォームであり、サステナビリティ関連情報の開示に向けて発生する各業務を効率化・最適化する機能をフェーズ毎に包括的に提供しています。提供開始以降、計95カ国以上、約6,500社197,000拠点以上(2025年12月時点)に導入されています。 *3 企業価値経営:社会の持続可能性と企業の持続的成長を同期化させるサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の考え方を前提に、サステナビリティ情報・分析データを「経営資本」として扱い、財務インパクトやリスク・機会として可視化し、経営判断・資本配分・資本市場対話に活用することで、企業価値向上につなげる経営のあり方を指します。なお、本リリースでは、サステナビリティ対応を“開示業務”にとどめず、企業価値向上に直結する“経営変革”として捉える観点から、「企業価値経営」という表現を用いています。
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※ 内容はリリースにより異なります。