ビジネス

カード個人化設備市場、2032年には15.6億米ドル規模へ成長!意外と身近な「あのカード」を支える技術とは?

あなたの財布にもある!身近なカードを支える「個人化設備」が熱い

普段何気なく使っている銀行カード、運転免許証、会社の入退室カード、スマートフォンのSIMカードなど、これらすべてのカードには、あなたの情報が安全に書き込まれています。この「情報を書き込む」作業を担うのが「カード個人化設備」です。YH Research株式会社の最新調査によると、この市場が2032年までに15.6億米ドル規模に達し、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)5.9%で安定した拡大が見込まれています。モバイル決済が普及する中でも、なぜ物理カードの需要は伸び続けるのでしょうか?

カード個人化設備の世界市場規模(百万米ドル)

カード個人化設備ってどんなもの?

カード個人化設備とは、カードの製造工程で、持ち主の氏名や識別番号を印刷したり、ICチップにデータを書き込んだり、磁気ストライプに情報をエンコード(符号化)したりするシステム型装置のことです。セキュリティ性の高いIDカードや決済カードの発行には欠かせない技術で、銀行カード、国民IDカード、SIMカード、交通カード、さらにはギフトカードなど、多岐にわたるカードに使われています。

成長の秘密は「安全」と「多様化」

市場が拡大する背景には、主に以下の要因が挙げられます。

  • 決済カードの更新サイクル: クレジットカードやデビットカードは一定期間で更新され、新しい機能やセキュリティ技術が搭載されたカードに置き換わります。

  • 政府IDプログラム: 国民IDカードや運転免許証といった政府発行の身分証明書は、偽造防止のために高度な個人化技術が求められます。

  • 安全な認証情報発行: 企業や大学、医療機関などで使われるアクセスカードも、セキュリティ強化のニーズから個人化設備の需要が高まっています。

  • 交通・アクセス管理システム、通信カード需要: 交通系ICカードやSIMカードの発行も、日々大量に行われています。

モバイル決済やデジタルウォレットの普及が進む一方で、物理カードは本人確認、政府ID、交通、通信、企業アクセスなどの分野で依然として重要な役割を担っており、既存カードの更新や置き換えの需要も継続しています。

とくに、金融や政府関連の用途では、個人情報や認証情報を扱うため、暗号化データ処理、安全なチップ個人化、PINメーラー(暗証番号を安全に通知する仕組み)統合、レーザー刻印、生体認証データ管理など、高度なセキュリティ機能を持つ設備が重視されます。エラーやデータ漏えいは不正リスクに直結するため、システム全体の安全性と運用管理能力が非常に重要です。

用途によって求められる機能もさまざま

カード個人化設備の製品分類と用途構造

カード個人化設備は、用途によって求められる機能が大きく異なります。

  • 銀行・決済カード発行: ICチップ、磁気ストライプ、非接触機能、印刷、エンボス(浮き出し加工)など、複合的な処理と高い精度、安定した連続稼働能力が求められます。高付加価値カードや環境配慮型カードへの移行も、設備更新を促進しています。

  • 政府ID・安全文書分野: 国民ID、運転免許証、パスポート関連書類などでは、個人化の正確性、データ保護、偽造防止、耐久性が最重要です。写真、個人情報、チップデータ、バーコード、ホログラム、レーザー刻印などを統合するため、プロジェクトごとのカスタマイズ性と高いセキュリティ認証への対応力が不可欠です。

  • 通信/SIM、交通カード、アクセス制御など: 発行数量、カード材質、印刷仕様、エンコード(符号化)方式が多様です。通信事業者にはSIMカードとeSIM関連の発行管理が、交通カードやアクセスカードにはNFC/RFID(近距離無線通信技術)互換性と耐久性が求められます。これらの多様なニーズが、デスクトップ型から高速集中型まで幅広い設備ラインアップを支えています。

産業の裏側を支えるサプライチェーン

カード個人化設備の産業チェーン(上流・中流・下流)

カード個人化設備の産業は、上流から下流まで様々な企業によって支えられています。

  • 上流: カード基材(PVC、PETG、PC)、ICチップ、磁気ストライプ材料、プリントヘッド、レーザーモジュール、センサー、カメラ、セキュリティモジュール、エンコードソフトウェアなど、高品質な部品やソフトウェアが供給されます。

  • 中流: カード個人化設備メーカーやシステムインテグレーターが、これらの部品を組み合わせて、デスクトップ発行設備、高速集中型システム、エンボスシステムなどを設計・製造します。設備の信頼性、処理速度、セキュリティ準拠、保守サービスが競争力となります。

  • 下流: 銀行、政府機関、通信事業者、交通カード運営会社、大学、病院、ホテル、小売業者、カードサービスビューローなどが顧客となります。発行精度、データ安全性、カード品質、発行速度、トレーサビリティ、ソフトウェア互換性、生産柔軟性、安定した連続運転が重視されます。

世界で広がる市場機会

カード個人化設備の地域格局と市場機会

地域別に見ると、市場機会は多岐にわたります。

  • 北米・欧州: 高セキュリティの金融カード、政府ID、運転免許、安全文書、即時発行ソリューションで高い需要を維持しています。eID(電子ID)や環境配慮型カードへの対応も進んでいます。

  • アジア太平洋: 中国、日本、韓国、インド、東南アジアが重要な市場です。中国では銀行カード、社会保障カード、交通カード、通信カードなどの幅広い需要があり、国産化とサービス網整備が進んでいます。日本・韓国は金融、通信、交通、精密機械部品、検査システムで強みを発揮し、東南アジアは国民ID、交通チケッティング、金融包摂、通信カード関連プロジェクトで成長が見込まれます。

  • 中東・ラテンアメリカ・アフリカ: 政府ID、居留許可、交通カード、銀行口座普及、通信SIM、公共サービスのデジタル化が設備需要を生み出しており、初期導入プロジェクトやローカル保守、運用トレーニングが受注の鍵となります。

将来の展望:総合ソリューションとセキュリティが鍵

カード個人化設備の競争格局と主要メーカー

世界のカード個人化設備市場では、Entrust、Zebra、HID Global、Evolis、Muehlbauerなどの企業が主要プレイヤーとして競争しています。今後は、単一の装置販売だけでなく、カード供給、印刷、エンコード、レーザー刻印、検証、仕分け、包装、セキュリティソフト、監査ログ、リモート保守まで、発行ワークフロー全体を支える「総合ソリューション」を提供できる企業が、金融機関や政府機関から高く評価されるでしょう。

モバイル決済の台頭や価格競争、材料コスト変動、セキュリティ規格対応といった課題もありますが、本人確認、金融決済、公共サービス、交通・アクセス管理において物理カードは引き続き不可欠な役割を担い続けるでしょう。カード個人化設備は「高セキュリティ発行インフラ」として、長期的な需要基盤を維持すると考えられます。

今後、処理速度、精度、セキュリティ、モジュール性、材料適合性、アフターサービスを同時に高められる企業が、グローバル市場でより強い競争力を獲得していくことでしょう。

詳細情報はこちら

YH Research株式会社のウェブサイトで、さらに詳しい市場調査レポートをご覧いただけます。

【本件に関するお問い合わせ先】

YH Research株式会社 住所:東京都中央区勝どき五丁目12番4-1203号 TEL:050-5840-2692(日本);0081-5058402692(グローバル) マーケティング担当:mailto:info@yhresearch.com

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。
※ 内容はリリースにより異なります。