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PFASは「除去の先」へ 静岡市で回収した濃縮物を約220℃の亜臨界水で処理、一部条件で3物質が検出限界値未満に

PFASは「除去の先」へ 静岡市で回収した濃縮物を約220℃の亜臨界水で処理、一部条件で3物質が検出限界値未満に

回収したPFASを「その後」どう処理するか

ウォーターサーバー事業などを手掛ける株式会社Aホールディングス(本社:山梨県富士吉田市)と、グループ会社の駿河GXテクノロジー株式会社(本社:静岡県静岡市、以下「駿河GX」)は、亜臨界水を使ったPFAS濃縮物の処理試験を行いました。試料には、静岡市清水区の三保雨水ポンプ場での実証実験で回収したPFAS濃縮物を使っています。約220℃・60分、添加剤を用いた一部の試験条件では、処理後の分析試料に含まれるPFOS・PFOA・PFHxSが、いずれも分析装置の検出限界値50ng/L未満になったことが確認されました。この結果は、11月2日に開かれたグループ事業発表会で公表されています。

PFASは、水や油をはじく性質を持つ人工の有機フッ素化合物の総称です。自然界で分解されにくいため、「永遠の化学物質」とも呼ばれています。国内では2026年4月から、PFOSとPFOAが水道水の水質基準の対象になりました。

ただし、水からPFASを取り除いても、PFASそのものがなくなるわけではありません。回収した濃縮物にはPFASが残るため、PFAS対策では除去だけでなく、濃縮物をその後どう処理するかも課題になっています。処理の方法には焼却や化学分解などさまざまなアプローチがあり、駿河GXは焼却を伴わず、比較的低い温度条件でPFASを処理できる可能性に着目して、高温・高圧の水を利用する「亜臨界水処理」を選びました。同社は、加圧浮上分離装置によるPFASの回収から亜臨界水による分解処理までを一貫して行うとともに、処理後の生成物を新たな資源として活用する可能性も視野に入れ、研究開発と実証実験を進めています。

PFASは「除去の先」へ 静岡市で回収した濃縮物を約220℃の亜臨界水で処理、一部条件で3物質が検出限界値未満に

三保雨水ポンプ場で実際に回収した「フロス」を使用

駿河GXは、静岡市清水区の三保雨水ポンプ場で、加圧浮上分離装置などを使ったPFAS除去の実証を進めています。これまでに、原水3,400ng/Lを処理後5ng/Lまで下げ、99%の削減を確認しました。加圧浮上分離装置では、PFASが泡状の濃縮物(フロス)として回収されます。今回の試験では、この工程で実際に回収したフロスを試料にしています。

処理前後の分析結果

  • 処理前(フロス):PFOS 46,000ng/L、PFOA 66,000,000ng/L、PFHxSは未測定
  • 処理後(約220℃・60分):PFOS、PFOA、PFHxSのいずれも50ng/L未満

「50ng/L未満」は、分析装置の検出限界値を下回ったことを意味します。一部の条件で3物質すべてがこの値を下回り、処理前後を単純に比べると、PFOSは99.89%以上、PFOAは99.999%以上低減したことになります。

最高温度を約220℃に抑えて添加剤で反応を補う

PFASは炭素とフッ素の結合が強く、分解には一般に300℃以上の高温が必要とされてきました。今回使った亜臨界水は、水の臨界点(374℃・22.1MPa)より低い温度で、加圧によって液体の状態を保った高温の水です。試験には容量2リットルの装置を使い、最高温度を約220℃に抑えたまま、添加剤で反応を補う方法を検証しました。

今後は2リットル規模での試験結果をもとに、処理規模の拡大と条件の最適化を進めます。そのうえで、実証プラントでのPFAS除去工程と、その後の処理工程を組み合わせた検証を目指す方針です。さらに、処理後に残るフッ素を回収して資源として再利用する「フッ素リサイクル」も構想しています。グループでは、開発中の移動式・小型機の亜臨界水処理装置とも組み合わせ、処理規模や現場の条件に合わせた選択肢を示すことを目指しています。PFASをはじめとする環境課題に対しては、第三者による検証を重ねながら技術開発を進めるとしています。

同日に発表された資源循環・土地活用・6事業の展開

亜臨界水処理の研究開発は、PFAS以外の資源循環分野でも進められています。高温・高圧の水で生ごみなどを分解し、燃やさずに肥料や液肥へ転換する技術で、駿河GXと提携事業者は大阪大学内のラボで温度・圧力などの処理条件を研究しています。あわせて、現場へ持ち込める移動式・小型機の開発にも取り組んでいます。グループでは、亜臨界水処理装置、加圧浮上分離装置、発酵装置などを組み合わせ、「分解・分離・資源化」を一連で行う循環型処理システムの構築を目指しています。

静岡市清水区では、宍原(ししはら)地区と三保貝島(みほかいじま)地区の2地区で土地活用を構想しています。新東名高速道路に近い宍原地区(約50万坪)は、防災機能を備えた工業団地や、企業・工場誘致の拠点としての活用を構想しています。三保貝島地区(約1万坪)では防潮堤機能を兼ねた盛土造成を計画しており、造成地を活用した民間海洋研究施設の整備を構想中です。いずれも、富士山噴火や南海トラフ地震などへの備えと、平時の産業振興の両立を目指す土地活用です。

Aホールディングスグループは、社会課題を個別に捉えるのではなく、複数の事業を連動させて解決することを目指しており、主要領域として次の6つを掲げています。

  • 水:天然水・浄水型ウォーターサーバー、PFAS対策を展開。ネパールでは工場建設に向けた土地を取得しており、2026年11月24日に地鎮祭を予定
  • 再生医療:細胞培養加工施設やクリニックなどを軸とした事業展開
  • 資源循環:亜臨界水処理による廃棄物の資源化とPFAS処理
  • 土地活用:宍原・三保貝島地区などでの防災・産業・研究機能を備えた土地活用
  • エネルギー:高周波パワーエレクトロニクスやワイヤレス給電技術の研究開発
  • 安全・安心:防災・減災やシェルターなど、平時と災害時の双方で活用できる社会インフラの調査・研究

Aホールディングスは、駿河GXテクノロジーをはじめとするグループ各社を束ねるホールディングカンパニーです。代表取締役社長は粟井英朗氏で、設立は2014年9月です。グループ各社は、水・環境・医療・エネルギー・防災などの領域で社会課題の解決を目指し、事業・技術開発に取り組んでいます。

出典:株式会社 Aホールディングス

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