
シリーズB 1st Closingで7.1億円、エクイティ・助成金を含む調達総額は25.8億円に
ヒューマノイド・ロボティクス技術を応用した次世代モビリティ・パワード義足を開発するBionicM株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:孫小軍)は、2026年11月2日、シリーズBラウンドの1st Closingとして総額7.1億円の資金調達を完了したと発表しました。この金額には、事前に実施したJ-KISS型新株予約権が含まれています。エクイティと助成金をあわせた調達総額は25.8億円となりました。今回のラウンドには、海外投資家や個人投資家も参画しています。
同社は、東京大学博士課程に在籍していた孫小軍氏が、同大学の稲葉教授(当時、現 同大学名誉教授)の指導のもと、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のSTARTプログラムの支援を受けて進めた研究開発の成果をもとに設立されたスタートアップです。「Powering Mobility for All(すべての人に移動の力を)」をミッションに掲げ、ロボティクスと身体を融合させたパワード義足の開発・販売を手がけています。動力アシスト付きパワード義足「Bio Leg®」では、米国FDAクラスII医療機器登録や医療保険適用承認を取得し、2024年には米国拠点を設立して現地での販売体制づくりを推進。2026年には「大学発ベンチャー表彰 経済産業大臣賞」を受賞しています。
今回調達した資金は、次世代新製品「ASISTA™」の2027年米国市場ローンチに向けて、生産体制と米国でのマーケティング・セールス基盤の強化に充てられます。

「支える」から「動きを助ける」へ 転換期を迎える米国の義足市場
米国では、糖尿病患者数の増加に加え、義足利用者の高齢化が進んでいます。こうしたなか、体をただ支えるだけの従来型の義足ではなく、体への負担を軽くし、日々の生活をよりスムーズにしてくれる「動きを助ける」義足を求める声が高まっているといいます。
そのニーズに応えるのが、ヒューマノイド・ロボット技術を応用し、動きを生み出す機能を備えたパワード義足です。2025年には、従来の流体制御(油圧・空気圧)とは別に、モーターやアクチュエーターによるElectromechanical制御(電気機械式)に関するコードが新設され、米国ではモーター制御技術の浸透を強く後押しする流れが形づくられつつあります。実際に同社製品を利用した患者は、活動量が増え、経済活動も含めて生活が変わる体験をしているとのことです。
一方で、パワード義足の技術を商用化できているプレイヤーは、同社を含めて世界でも3社しかありません。そのため多くの義足利用者は長年広く使われてきた従来型の義足を使っており、パワーアシスト機能を備えた義足を体験できる機会はまだ限られています。同社は、米国で生まれているこの流れを捉え、より多くの人がパワード義足を体験し、生活を大きく変えるきっかけを届けていくとしています。

膝の曲げと伸ばしをアシストする新製品「ASISTA™」
「ASISTA™(アシスタ)」は、米国のMicro Processor Knee(マイコン制御膝継手:MPK)市場において初となるElectromechanical MPKとして、「屈曲・伸展アシスト機能(Flexion and Extension Assist)」を搭載する義足製品です。従来の一般的なMPKはブレーキ制御による「受動的な制御」が中心でしたが、ASISTAは独自のロボティクス・アクチュエーション技術と制御アルゴリズムによって、膝の曲げ(flexion)と伸ばし(extension)の両方をアシストします。これにより、平地での歩行だけでなく、階段や坂道の昇り降り、立ち座りの動作においても、より自然で負担の少ない歩行体験と身体機能の拡張を実現するとしています。
- 製品名:ASISTA™(アシスタ)
- 市場投入予定:2027年(米国市場)

代表と投資家が語る、これからの展望
代表取締役社長の孫小軍氏は、前回の調達以降、米国での販売展開と臨床フィードバックを着実に積み重ね、多くの義足ユーザーから手応えを得てきたと振り返り、国内外の投資家の支援を受けてシリーズB 1st Closingを迎えられたことを「大変心強く思っております」と述べています。2027年に米国投入を予定するASISTAについては、従来のMPK市場の常識を覆す、アシスト機能を備えた米国初の製品であり、ヒューマノイド・ロボット技術によるイノベーションで1,000億円規模の米国MPK市場を塗り替えることを目指す戦略製品と位置づけています。切断者が疲れにくく、より自由に活動できる社会を目指し、チーム一丸となって事業・開発のスピードを加速していく考えです。
B Dash Ventures株式会社 代表取締役の渡辺洋行氏は、米国の義足市場では高齢化を背景にパワーアシストへのニーズが高まり、保険適用の面でもパワード義足の価値が認められはじめるなど、普及に向けた転換期を迎えていると指摘。東京大学で培ったロボティクス技術を基盤に、世界でも数少ない商用化に成功したパワード義足の開発企業として米国での販売体制を着実に構築してきた同社を、日本発のロボティクス技術で世界の義足市場を切り拓く企業として、グローバル市場での成功に向けて支援していくとコメントしています。
三菱UFJキャピタル株式会社 執行役員 投資第三部長の西尾祐一氏は、義足はテクノロジーの進化によって「失われた機能を補うもの」から「人の移動能力をより高めるもの」へと進化していく可能性を持っていると述べ、同社はロボティクスをはじめとする高い技術力とユーザー起点の製品開発力を兼ね備え、この変化を牽引できる企業だとしています。そのうえで、同社が日本から世界へ挑戦し、義足を必要とする人々の選択肢と可能性を広げていくことを期待し、その成長を支援していく考えを示しました。
出典:BionicM株式会社
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