日本の電池産業、未来への大転換期
日本の電池製造装置市場の成長を後押ししているのは、政府が掲げる野心的な目標です。2026年6月に「電池・電力産業戦略」と改称されたこの戦略では、2030年から2030年代半ばにかけて国内電池生産量を年間150GWh(ギガワット時:大規模な電力容量を示す単位)に引き上げ、2035年までに国内企業の電池関連グローバル売上高を3倍に拡大することを目指しています。さらに、2030年頃には次世代の「全固体電池」(電解質が固体である次世代の電池で、安全性やエネルギー密度が高いと期待されています)の本格的な商用化も視野に入れています。
加速する国内生産体制
このような市場の動きと政府の戦略に呼応するように、国内企業も積極的な投資を進めています。
例えば、GSユアサは2026年8月に国内向けの定置用蓄電システムを製造する「茨城新工場」の建設に着手しました。2028年10月の生産開始を目指しており、年産2GWhの能力で日本製リチウムイオン電池セルと制御技術を活用したシステムを製造する予定です。
また、ソフトバンクはAI(人工知能)の普及に伴う電力需要の増加に対応するため、2026年5月に日本国内で蓄電池事業を立ち上げました。同社は2028年度までにGWh規模の生産体制を構築することを目指し、高性能な電池セルや蓄電システムの開発を進めています。
リチウムイオン電池が牽引する成長
市場セグメンテーションを見ると、2026年から2035年にかけてリチウムイオン電池のサブセグメントが46%という最大の市場シェアを占めると予測されています。この優位性は、日本におけるリチウムイオン電池製造のエコシステムが確立されていることと、自動車や民生用電子機器向けの高性能セル生産が継続されていることによるものです。
2024年9月には、SUBARUとパナソニック エナジーが群馬県に新たな電池工場を建設し、SUBARUの電気自動車(EV)向けに次世代円筒形リチウムイオン電池を供給する計画を発表しました。このプロジェクトにより、2030年までに年間20GWhの電池セル生産能力が追加され、日本の電池製造基盤がさらに強化されることになります。
地域経済への波及効果
地域別では、名古屋が2026年から2035年にかけて日本の電池製造装置市場において特に大きな成長機会を享受すると予測されています。これは、トヨタ自動車による電池開発の集約や、愛知県の広範な製造業クラスターが持つ生産技術力が背景にあります。
2024年6月には、BASFと日本ガイシ(NGK)が長時間エネルギー貯蔵向けに設計された先進的なナトリウム・硫黄(NAS)電池「NAS MODEL L24」を発表しました。この新システムは、電池の劣化を年率1%未満に抑え、熱管理機能を向上させることで、長期間の稼働とメンテナンス頻度の低減を実現しています。
市場を支える主要企業
日本の電池製造装置市場における主要なプレーヤーとしては、Toray Engineering Co., Ltd.、Komatsu NTC Ltd.、Hirata Corporation、Hitachi High-Tech Corporationなどが挙げられます。
まとめ
日本の電池製造装置市場は、政府の強力な支援と国内企業の積極的な投資により、今後10年間で目覚ましい成長を遂げることが予測されています。特にリチウムイオン電池の分野での技術革新と生産能力の拡大は、電気自動車や蓄電システムなど、私たちの生活に欠かせない製品の進化に直結します。日本が「電池大国」として世界をリードする日もそう遠くないかもしれません。
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