日本の生分解性カトラリー市場、2035年には461万米ドル規模へ
株式会社マーケットリサーチセンターが発表した調査資料「生分解性カトラリーの日本市場(2026年-2035年)」によると、日本の生分解性カトラリー市場は、2025年時点の200万米ドル規模から、2035年には461万米ドルに達すると予測されています。これは、年平均成長率(CAGR)8.7%という高い成長率を示しており、使い捨てプラスチック削減への強いニーズが背景にあると考えられます。
この市場成長を特に牽引しているのは、コンビニエンスストア、クイックサービスレストラン、テイクアウト、フードデリバリーといった業態の拡大です。これらの場所では毎日大量の使い捨てカトラリーが消費されるため、環境負荷の低い生分解性素材への切り替えが大きな需要を生み出しています。
農業廃棄物がカトラリーに?素材イノベーションの最前線
生分解性カトラリーの進化を支えるのは、目覚ましい材料技術の進歩です。特に注目されているのが、農業廃棄物を原料として活用する動きです。余剰米や廃棄される農作物からカトラリーを製造できれば、プラスチックごみだけでなく食品廃棄物の削減にもつながり、まさに一石二鳥の解決策と言えるでしょう。
具体的な事例として、2026年3月には福岡の企業PlastiFarmが、廃棄米からスプーンやナイフを製造する取り組みを発表しました。さらに、2026年1月にはアサヒグループホールディングス傘下のAsahi YOU.USが、海洋環境で完全に分解される生分解性バイオマスプラスチック製テーブルウェアブランド「KAELOOP」を投入。日本のような島国にとって、海洋プラスチック汚染への対策は特に重要であり、こうした海洋生分解性素材の実用化は大きな期待を集めています。
原材料別に見ると、籾殻などの「ハスク系素材」は、予測期間中にCAGR8.5%で伸びる見通しです。農業生産の副産物を資源化できるため、サステナビリティ(持続可能性)を強く訴求できる点が魅力です。また、紙や木材、植物由来の生分解性プラスチックも、それぞれの特性を活かして市場に貢献しています。
大手企業が導入を加速、身近になる環境配慮型カトラリー
生分解性カトラリーの普及を後押ししているのが、大手企業の積極的な導入です。マクドナルド日本では、全国約2,900店舗で生分解性素材を使ったストローやカトラリーを導入した事例が報告されています。また、ファミリーマートも植物由来ポリマー製のスプーンやフォークを提供しており、こうした大手チェーンの動きは一般消費者の認知度向上にも繋がっています。
航空業界でも環境配慮型カトラリーへの切り替えが進んでおり、2023年10月には日本航空が機内サービスでの導入を発表。一便ごとに大量の使い捨て用品が使用される航空機での素材変更は、環境への影響も大きいと見られます。
衛生面への配慮も進化しており、必要な本数だけを衛生的に取り出せる「ゼロタッチディスペンサー」といった製品も登場。感染対策と廃棄削減の両方に貢献する工夫が凝らされています。
関東が最大の消費地、関西は素材イノベーションの拠点に
地域別では、2025年時点で関東が31.7%の市場シェアを占める最大市場であり、今後もCAGR9.6%で成長すると予測されています。東京を中心にコンビニや外食店が高密度で存在し、人口が集中していることが、使い捨てカトラリーの総需要を大きくしています。
一方、関西も重要な地域として注目されています。大阪を中心とする製造業の集積と、バイオマス系新素材の研究・製造が進んでおり、2025年9月には大阪を拠点とするダイセルが海洋生分解性バイオマスプラスチック「CAFBLO」を投入した事例が挙げられています。
課題はコストと廃棄インフラ、未来への展望
市場拡大には期待が寄せられるものの、課題も存在します。従来のプラスチック製品に比べてコストが高いことや、コンポスト可能(堆肥化できる)な製品であっても、その特性を活かすための廃棄インフラ(分別回収や堆肥化処理の仕組み)の整備が求められます。
しかし、生分解性カトラリーは単なる「プラスチック代替品」に留まらず、農業廃棄物の資源化や海洋プラスチック汚染対策といった、より広範な環境問題の解決に貢献する可能性を秘めています。今後、生産規模の拡大によるコスト低減や、回収・廃棄まで含めたライフサイクル全体での環境価値を明確に示せる企業が、市場を牽引していくことでしょう。
この市場の成長は、私たちの食卓やライフスタイルにも大きな変化をもたらすかもしれません。環境に優しい選択が、より身近で当たり前になる未来がすぐそこまで来ているようです。
より詳細な情報は株式会社マーケットリサーチセンターのウェブサイトで確認できます。
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株式会社マーケットリサーチセンター: https://www.marketresearch.co.jp
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