なぜ予算超過が止まらない?現状と課題
多くの大型資本プロジェクトで予算超過が頻発する主な原因は、市場環境の変動だけでなく、プロジェクトの計画、統治(ガバナンス)、そして実行のあり方にあると指摘されています。特に、データセンターや発電、送電網更新、先端製造、物流ネットワークといった分野では、2029年までに北米データセンター支出が3兆ドル近くに達すると見込まれるなど、資本投資が急増し、設計・建設・設備市場全体に大きな圧力がかかっています。
このような状況では、従来型の契約モデルでは予見可能な成果を出すことが難しくなっているのです。

従来型契約モデルの落とし穴
これまでの契約モデルは、リスクを発注者か請負者のどちらか一方に割り振る傾向がありました。例えば、「固定価格契約」や「上限額契約(NTE)」では実行リスクを請負者が負い、「工数・実費精算型契約(T&M)」では発注者がコスト上振れのリスクを負います。
このリスクの偏りは、関係者間の協働や共同での問題解決を阻害する原因となりがちです。問題が発生しても、責任の所在を巡る議論に時間が割かれ、解決が遅れるケースも少なくありません。特に、新しい技術の導入、人材や資材の制約、短縮された工期が重なると、調整の負担が増大し、軌道修正の時間がさらに短くなってしまいます。

注目される「共有リスク型契約」とは?
こうした課題に対し、A.T. カーニーが提唱するのが「共有リスク型契約」です。このモデルでは、プロジェクトの計画段階から完工まで、発注者と遂行パートナーがリスクだけでなく、報酬や説明責任も共有します。
プロジェクトの成果が目標を上回れば双方が利益を得て、下回れば双方が影響を受け入れます。これにより、問題が顕在化する前に早期に可視化され、共同での迅速な意思決定が促されるため、実行の破綻が減少するというメリットがあります。
約600億ドル相当の資本投資に及ぶ300件以上の共有リスク型インフラ・産業プロジェクトの分析では、低い失敗率と一桁台半ばの性能改善が報告されており、その効果が実証されています。

もちろん、すべてのプロジェクトにこのモデルが最適というわけではありません。設計がすでに成熟しており、技術も馴染み深く、調達市場に余裕がある場合は、従来型の契約でも十分に成果を出せるでしょう。しかし、複数の条件が複雑に絡み合うプロジェクトにおいては、リスク共有型契約が、バランスの取れた責任体制を築くための有力な選択肢となります。
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この論考は、A.T. カーニーのウェブサイトで公開されています。大型資本プロジェクトの予算超過問題に直面している方、新しい契約モデルに関心のある方は、ぜひ詳細をご覧ください。
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論考名: 『大型資本プロジェクトには新たな契約ロジックが必要である』(英題:Large capital projects require new contracting logic)
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- A.T. カーニー 公式サイト: https://www.jp.kearney.com/
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