AI開発の常識が変わる?アトラシアンが提案する「統制・加速・測定」の新時代
近年、ソフトウェア開発の現場ではAIの活用が急速に進んでいますが、その多くは開発者が個別にAIを「単発」で利用するケースにとどまっていました。しかし、この度アトラシアンが発表したJiraとAtlassian DXの新機能は、この状況を大きく変え、AIを組織全体で「常時稼働」させる「エージェント型開発」への移行を強力に支援します。
具体的には、AIエージェントと人間の協働を管理・統制する「コントロールプレーン(中枢)」としてJiraを拡張。組織固有のコンテキスト(文脈)をAIに与え、AIが自律的に開発タスクを実行し、その効果を測定するまでの一連のサイクルを統合します。

なぜ今、エージェント型開発なのか?AI導入の課題を解決
アトラシアンが実施した「2026年 AI SDLC調査」によると、エンジニアリングリーダーの94%が開発業務でAIを活用している一方で、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC:ソフトウェア開発の全工程)全体にわたってAIを拡張するための仕組みを備えている組織はわずか6%に過ぎません。
この背景には、AI導入における3つの大きな課題がありました。
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組織コンテキストの欠如: AIエージェントが、組織固有のアーキテクチャや過去の意思決定、ドキュメント、プロジェクト基準などを十分に把握できていない。
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プロンプト依存と実行ガバナンスの不足: AIの利用が単発のプロンプト入力(AIに指示を与えるテキスト入力)に留まり、組織全体の開発プロセスに組み込まれていない。また、品質基準やアクセス制御の仕組みが整っていない。
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投資対効果(ROI)とインパクト測定の困難さ: AI導入が実際のデリバリー速度やコード品質にどう貢献しているかを定量的に証明できない。
今回の新機能群は、これらの課題を解消し、企業が安心・安全にエージェント型開発を全社展開するための基盤を提供します。実際、Atlassian DXによる分析では、AIツールがAtlassian Teamwork Graphのコンテキストを最大限に活用したチームは、開発者1人あたりの出荷量が約64%多かったという結果も示されています。
JiraがAI開発の「司令塔」に!新機能で開発を強力にサポート
アトラシアンが発表した新機能は、Jiraを人間とAIエージェントの作業を管理・統制する中枢へと進化させ、SDLC全体にAIをスケールさせることを目指しています。
1. エージェントを組織の共有コンテキストに根づかせる
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Code Context(コードコンテキスト): Atlassian Teamwork Graph上に構築され、RovoおよびAIコーディングエージェントに対して、複数リポジトリ(コードやファイルの保管場所)にまたがるコードベース全体の安全なインテリジェンスを提供します。これにより、バックログ(未処理の作業項目)の実現可能性精査や、既存アーキテクチャに準拠した実装計画の立案、バグトリアージ(バグの優先順位付け)や根本原因分析の精度が向上します。
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Agent Context Controls(エージェントコンテキストコントロール): プラットフォームチームが、エージェントのアクセスを許可するJiraプロジェクトやConfluenceスペースの範囲を細かく統制し、機密情報を保護しながら、正しい要件や設計方針に基づいたコード生成を担保します。
2. Jiraを核としたエージェントの自律的な常時実行と統制
- Agent loops in Jira(エージェントループ): エージェントがJira内の未割り当ての作業項目をスキャンし、Jira Coding Agentが非同期でコード生成・テストを実施。レビュー可能なプルリクエスト(コード変更をレビューしてもらうための提案)をJira内で自動起票します。これにより、開発者がガードレール(安全基準)を定義し、エージェントが並行して実行、開発者が最終承認を行う「ヒューマン イン ザ ループ(人間が最終的な判断や承認を行う仕組み)」という、バックログ駆動型の自律的な開発ループが実現します。

- Standards & AI Review(標準とAIレビュー): 組織共通のコーディング標準やセキュリティ基準をリポジトリに紐づけ、すべてのプルリクエストに対して専用エージェントが自動検証を実施します。人間がレビューを行う前に品質のばらつきを検知・修正し、マージ(コード統合)の最終判断権は常に人間が保持します。
3. AIのインパクトとROIを可視化する
- Jira Agent Usage Dashboard(Jiraエージェント利用状況ダッシュボード): チーム内でどのエージェントがどの作業項目で活用され、デリバリー速度の向上にどう貢献しているかをリアルタイムで把握できます。

- DX for Agentic Development (DXによるエージェント型開発): スループット(処理能力)、品質、導入率、AI利用コスト(モデル・トークン消費等)を統合的に測定。AI投資のビジネスインパクトを証明します。
いつから使える?気になる提供状況
各機能の提供状況は以下の通りです。
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Code Context: 有償プランをご利用のお客様を対象に、オープンベータとして順次展開中。
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Agent loops / Standards / AI Review: プライベート早期アクセスプログラムにて提供開始。
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Agent Context Controls / Jira Agent Usage Dashboard: 今後数か月以内に、Jiraの有償プラン利用者向けに一般提供予定。
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DX for Agentic Development: 今四半期中にAtlassian DXユーザー向けに一般提供予定。
各機能の利用要件、ライセンスの詳細、早期アクセスプログラムへの参加登録については、アトラシアン公式ウェブサイトをご覧ください。より詳しい情報は、関連ブログ記事「Governed Agent Loops」でも紹介されています。
アトラシアンの新機能は、AIを活用してソフトウェア開発を推進する企業や開発組織にとって、より高品質な成果物を迅速に、かつ安全に生み出すための強力な味方となるでしょう。AIが開発プロセスに深く統合されることで、チーム全体の生産性が飛躍的に向上する未来が、もうそこまで来ているのかもしれません。
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