「UI改善だけでは、もう選ばれない」理由
多くのサービス開発では、ユーザーが直接目にするUI(画面デザインや操作性)の改善に注力しがちです。しかし、どれほどリサーチを重ね、丁寧に作り込んだサービスであっても、ユーザーの日常に根付かないケースは少なくありません。
本書が提唱するのは、UIの奥にある「見えない仕組み」に目を向けること。これは、人が自然と選び、無理なく使い続けたくなるような体験を、どのように作り出すかという問いに対する答えです。単なるデジタルアプリの設計にとどまらず、新規事業開発や事業再定義の領域にも踏み込み、選ばれるUX(ユーザーエクスペリエンス:ユーザーがサービスや製品を通じて得られる体験全体のこと)の成功法則を12の視点と10のステップで具体的に解説しています。
日常に溶け込む「見えない仕組み」とは
『選ばれるUX』では、ユーザーの生活スタイルや行動に影響を与え、社会の空気感まで変えるような国内外の先進事例を紹介しています。
例えば、インドネシアの「Gojek」や中国の「美団(Meituan)」、日本の「GO」などが挙げられます。これらの成功事例では、ユーザーを無理に動かすのではなく、「より自由で豊かな暮らし」をユーザーに思い描かせ、その結果としてユーザーが自然とサービスを選び、ビジネスとしても成果を出している点が共通しています。

本書では、行動経済学やフーコーの監獄論といった思想も交えながら、その核心に迫ります。

AI時代にこそ問われる人間の役割
本書の巻末には、『アフターデジタル』シリーズ著者で株式会社ビービット取締役COOの藤井保文氏による文章も収録されています。藤井氏は、AIが簡単に目に見えるインターフェースを作り出し、「使われないUX」がかつてないスピードで量産される時代だからこそ、単なる操作性の向上を超え、「どのような日々を実現したいのか」を深く考え抜くことの重要性を説いています。これこそが、人間が研ぎ澄ましていくべき領域だと語られています。

出版社である英治出版は、「人を自由に豊かにするUXこそが選ばれる時代になる」とし、設計者の誠実さや想像力がますます重要になると述べています。この本が、人を消耗させる体験ではなく、人が自由に豊かになる体験を創造するきっかけとなることを願っています。
UXやCX(カスタマーエクスペリエンス:顧客が企業とのあらゆる接点で経験する一連の体験)、新規事業開発、DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや組織を変革すること)など、事業やサービスづくりに関わるすべての人にとって、必読の一冊となるでしょう。
書籍情報
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タイトル: 選ばれるUX ──「日常に溶け込む」体験のつくり方
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著者: 平井剛直、廣橋沙紀
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発売日: 2026年9月19日(土)
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出版社: 英治出版
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定価: 3,080円(10%税込)
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ISBN: 978-486276-391-4
著者紹介

平井剛直(ひらい たけなお) 株式会社ビービットにて、ユーザ起点の体験デザインを軸に、新規サービス開発、既存サービスの再構築、UX/CX組織づくり、人材育成を支援。ビジネス、デザイン、テクノロジーを横断した顧客体験変革に取り組む。
廣橋沙紀(ひろはし さき) 株式会社ビービットにて、生活者の行動を丁寧に捉えるリサーチを起点に、サービスや業務の設計・改善を支援。日々の暮らしに根ざした体験づくりを得意とし、調査設計から分析、コンセプト立案、体験設計、実行支援までを一貫して担う。
本書に寄せて

藤井保文(ふじい やすふみ) 株式会社ビービット 取締役 COO。『アフターデジタル』シリーズ著者。
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