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スタートアップ拠点都市の5年を徹底検証!自治体が成功させるカギは「最初の顧客」と「実証の場」だった

成果を測る「共通の物差し」がない?

レポートによると、内閣府が設定した23の指標のうち、目標を達成したのはわずか10でした。達成されたのは、ビジネスマッチング件数やスタートアップ創出数、ビザ認定数といった「プロセス」や「すそ野」に関する指標が中心です。一方、ユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場企業)の創出や評価額、資金調達額といった「バリュエーション(企業価値評価)」に関する指標は、ほとんどが未達成という結果に。ユニコーン数を目標に掲げた6都市圏のうち、目標を達成したのは1社を目標としていた仙台の1都市圏のみでした。

さらに、目標や指標が途中で変更されたり、累計と単年で達成状況の見え方が異なったりするなど、成果を客観的に測るための「共通の物差し」が存在しないという課題も浮き彫りになっています。資料間の数値の不整合も18件確認されており、これは自己申告という設計の自然な結果であり、制度的な仕組みの不在が問題と指摘されています。

プロセス指標は達成、バリュエーション指標は未達

自治体こそが「最初の顧客」に、そして「実証の場」を開く

このレポートで特に強調されているのが、自治体だけが持つ固有の機能です。アクセラレータープログラム、補助金、拠点施設、ピッチイベントなどは民間でも実施できますが、行政にしかできないのは「スタートアップの最初の顧客になること」と「水道・交通・施設といった行政資産を実証の場として提供すること」です。

福岡市の事例では、公共調達サポートの第1号案件が2件あり、それぞれが商業化や他の自治体への横展開に成功しています。例えば、衛星画像による水道管の漏水調査は全国22市町村での実証を経て商用サービス「mizuiro」となり、AIによる交通量調査「MATIENCE」は東京都が政策目的随意契約で調達しました。これらの初回調達の実績が「信用財」となり、他の自治体への販路拡大につながっています。

行政にしかできない「最初の顧客になる」機能は、動き始めている

さらに、実証から調達・継続への転換率を自ら測定・公表する自治体も現れています。東京都の「UPGRADE with TOKYO」では協働実績率94%、神戸市「Urban Innovation KOBE」では継続率70%を達成。これは、「行政の実証は成功しにくい」という通念を、具体的な数字で否定するものです。2025年3月には東京都が「ファーストカスタマー・アライアンス」(9自治体)を立ち上げ、随意契約で認定した商品・サービスを自治体間で共有し、1つの自治体での初回調達を参加自治体全体の販路へと拡大する取り組みも進んでいます。国の調達に占める創業10年未満企業の比率も、2020年度の0.83%から2023年度には1.39%へ上昇しており、目標は3%とされています。

行政にしかできない二つの機能は、測られ始めている

開業率は全都道府県で低下、政策効果は検出されず

一方で、スタートアップの「すそ野」の広がりについては、厳しい現実が示されています。厚生労働省の「雇用保険事業年報」からアーキタイプ株式会社が算出した47都道府県の開業率(近似値)によると、政策実施前(2015〜2019年度平均)と政策実施後(2021〜2024年度平均)を比較しても、開業率が上昇した都道府県は一つもありませんでした。第1期の拠点県13県は、非拠点34県よりも低下幅が大きいという結果に。この変化は、政策の有無ではなく、政策前の都市の「ストック」、つまり過去に蓄積された都市の基盤が影響していると分析されています。

開業率は47都道府県すべてで低下

「高さ」は狙って作れない?

大型の資金調達やユニコーン企業の創出といった「高さ」の指標は、少数の企業に結果が左右されるため、都市単位で集計すると数値が大きく変動しやすいことが指摘されています。全国の資金調達額が2022年の9,909億円から2025年には7,613億円に減少する中でも、第2期の13拠点は再びバリュエーションとEXIT(株式公開や企業売却)の指標を重視する傾向にあり、本レポートでは、これは未達リスクを再生産する可能性をはらんでいると分析しています。

レポートの活用と提言

このレポートは、スタートアップとの連携を検討する大企業の事業開発責任者や、自治体・外郭団体の担当者、そしてスタートアップ自身にとって、非常に有用な情報源となるでしょう。民間実務家が自治体と連携する際に何を期待できるのかを明確にする「固有機能×リターン対応表」が収められています。また、自治体・外郭団体の担当者向けには、大企業のイノベーション組織の設計知を行政に翻訳した7つの提言が提示されており、担当者が庁内で使える「外部の言葉」として活用できる内容となっています。

アーキタイプ株式会社の代表取締役である菅野龍彦氏は、「自治体のエコシステム施策を礼賛も断罪もできない、という事実が見えてきた。その中で確かに動き始めたのが、行政にしかできない『最初の顧客になる』『実証の場を開く』という機能だった。民間が自治体と組むなら、期待してよいものはそこに集中する」とコメントしています。

レポート概要とダウンロード方法

この貴重なレポートは、下記から無料でダウンロードできます。

タイトル: スタートアップ・エコシステム拠点都市 第1期5年の検証 — 自治体が動かせるもの、動かせないもの(Industry Report 2026 Vol.7) 対象: 内閣府「スタートアップ・エコシステム拠点都市」第1期(2020〜2025年度)8都市圏。第2期13拠点の拠点形成計画、47都道府県の開業率(雇用保険事業年報よりアーキタイプ株式会社算出)、海外公的機関5主体の年次報告を併用 確認時点: 2026年8月 データ出所: 内閣府・総務省・厚生労働省・経済産業省・中小企業庁・各自治体の公表資料、海外公的機関の年次報告(一次確認) 想定読者: 自治体から実証や共創の打診を受けている大企業の事業開発責任者・オープンイノベーション部門・共創拠点の運営者。あわせて自治体・外郭団体の担当者、スタートアップ 本文: 全47ページ

▼ レポートのダウンロードはこちら: https://archetype.co.jp/download/startup_ecosystem

なお、第2期の中間評価は2028年度に予定されており、拠点都市・公共調達・スタートアップ政策の最新動向は、月次ニュースレター「アーキタイプ・マンスリーレポート」(毎月配信・無料)で継続して取り上げられる予定です。

https://archetype.co.jp/newsletter

アーキタイプ株式会社について

アーキタイプ株式会社は、AIとデータを活用して日本の大企業の新規事業開発を伴走型で支援する事業開発ファームです。業界レポートシリーズでは、半導体・電子部品、農業、メディア・エンターテインメント、素材・化学、エネルギー・資源、AI新規事業と、業界ごとに「新規事業がどこで生まれ、どこで止まるのか」を一次データから分析しています。

これまでのIndustry Report 2026 シリーズも無料でダウンロード可能です。

社名: アーキタイプ株式会社 所在地: 東京都港区 代表者: 代表取締役 菅野龍彦 事業内容: イノベーション組織戦略策定/社内新規事業創出/オープンイノベーション実行支援/AI駆動型事業開発 URL: https://archetype.co.jp

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